福岡県小郡市横隈の小児科

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花立山の朝焼けを見ながら(近況・感染状況)5月15日                

福岡県の報告では、インフルエンザを含めた感染症の患者数は下の表で明らかなように減少してきている。最近著しく増加しているのが百日咳である。年長児が感染すると、発熱がないにもかかわらず、1週間以上頑固な咳が持続するが、生後0~1か月の乳児が感染すると無呼吸や脳症を起こし、命に係わる怖い感染症である。そのため、生後早期の2か月から4種混合・5種混合のワクチン接種を開始し、ワクチンで抗体を身に着け感染を予防するように計画されている。治療はクラリスを5日~7日服用すると百日咳菌は除菌できるとされていますが、最近マクロライド耐性菌の増加が報告されていて、注意が必要です。また、咳は、菌が作った百日咳毒素が神経を刺激して引き起こすので、除菌後も毒素の影響で咳は持続する。診断は急性期の百日咳IgM抗体(発症後15日頃がピーク)・IgA抗体(発症後21日頃がピーク)・百日咳毒素抗体PT-IgG(発症2週目から上昇し、3~4週で100を超える)の証明。百日咳菌遺伝子検査(LAMP法、DNA検査法)・最近は百日咳菌抗原検査法がある。感染が証明されれば保健所への報告義務がある、大切な感染症です。注意してください。

また、先週くらいからリンゴ病の感染者が増えてきています。リンゴ病はパルボウイルスの感染で起こりますが、発熱などの症状に乏しく、感染して10~20日後に、顔のホッペに蝶形紅斑と手足の網目状のカーテンレース様の皮疹を特徴的に認めます。しかし、この皮疹が出現した時には、人に感染する力はなく登園・登校してもかまいません。それ以前に感染力があるようですがいつ移したかわかりません。一生に一度感染する疾患ですが、罹ったことがなければ成人でも感染します。その場合、37度代の発熱を認め、手指のリュウマチ様の関節のこわばり症状を認めることがあります。注意してください。妊娠中の感染と遺伝性球状赤血球症の患者が罹患すると要注意です。

福岡県・小郡市の感染症の状況(5月9日発表分:第9週 5/5~5/11)                                                 疾患名        4週前(報告数)    3週前     2週前  先週 先々週/先週の増減                       百日咳報告数(1週間)  142       110      87   110  75%→126%                               

インフルエンザ      145        146     90   119  62%→132%                            コロナ          136       113      89   95  79%→107%                                        RS感染症        113        79      52   13   66%→25%           hMPV感染症       37        36      34   30  94%→88%                                      溶連菌感染症       259       267      196  205  73%→105%                          感染性胃腸炎       739       747      591  622  79%→105%                                             

当院における感染状況:                                                                                                                                                                                  ③ RSウイルス感染症:                                                        ③ hMPV(ヒトメタニューモ)感染症:                                                   ④ 溶連菌感染症:年末レベルまで増加しています。減少することなく経過しており、要注意!                                                           ⑤ 感染性胃腸炎:今年になって、ノロウイルスを中心とした、乳幼児のウイルス性胃腸炎感染者が増加している。それに伴い、家庭内感染も増えている。嘔吐した場合、吐物以外にも、空気中にもウイルスが浮遊していて感染源になる。報道であるように、ノロウイルスはアルコール消毒の効果も十分ではない。しっかり流水による手洗いが大切!下痢便の中にもウイルスがいるので、おむつ交換後にも手洗いをいましょう。