寒くなってきて、インフルエンザの患者がさらに増え、先々週158%、先週141%と著増しています。さらに、マイコプラズマ、溶連菌感染症、感染性胃腸炎、手足口病も多い状況が持続しています。マイコプラズマに関しては、10月24日、聖マリア病院小児科の症例検討会でマイコプラズマ感染症に伴って起こった脳炎例、重症皮膚病変であるスティーブン ジョンソン症候群の例の報告がありました。元気な肺炎と思われているマイコプラズマ感染症ですが、怖い感染症だし、インフルエンザも溶連菌も嘔吐下痢症も怖い感染症です。その感染予防のために、マスク・手洗い、インフルエンザ予防接種などの対策が必要だと思われます。
感染状況(11月7日福岡県発表分:10/28~11/3) 疾患名 4週間前(患者数) 3週間前 2週間前 先週 先週との比較(%) インフルエンザ 114 173 273 389 141% 新型コロナ感染症 200 160 150 123 82% RSウイルス感染症 12 22 21 20 99% 溶血性連鎖球菌感染 476 548 564 423 75% 感染性胃腸炎 393 460 433 398 92% 手足口病 984 976 1010 790 78% マイコプラズマ感染症 480 561 471 583 124%
当院周囲の感染状況 (1)インフルエンザ:今週も当院では感染者はありませんでした。今後の流行に注意してください。予防接種を早期に接種したほうが良さそう。 (2)新型コロナ :これから冬にかけて寒くなるにつれて流行がくるのだろうか?感染状況は減少傾向がつずいています。 (3)手足口病:夏場の感染症だが、秋になっても減る気配がなく、むしろ増加傾向でしたが、まだ、保育園、小学生で多い状況です。。 (4)マイコプラズマ感染症:先々週は減少したのかな?と思いましたが、今週すでに8人感染者が確認されたので、減少してはなさそうです。発熱後2~3日しないと検査が陽性にならないのが難点です。
マイコプラズマ肺炎の説明 (1)起因菌:マイコプラズマニューモニアという細菌 (2)感染経路:咳、痰からの経気道飛沫感染 (3)潜伏期間:2~3週間(1~4週間) (4)感染可能期間:気道上皮に菌が増殖している期間(1~2週間)、強い呼吸器症状のある期間 (5)症状:①頑固でしかも長期にわたる咳 ②発熱:一日中続く熱もあれば、昼間は熱がないが、咳き込む夜間に発熱する熱が持続する。熱が出はじめには咳は少ないが、熱が続くに従い夜間を中心に咳がひどくなる。 (6)診断 ①血液検査:血清学的検査(PA法)抗体が上昇するのに時間がかかる:発熱が7日持続して上昇 ②抗原検査:咽頭ぬぐい液による検査で発熱3日目で90%陽性化 ③遺伝子検査(LAMP法):発熱1日目で陽性化 (7)治療:最近マクロライド(クラリス)耐性菌の報告が多い(アジスロマイシンの普及後増加) ①7歳未満:クラリス48~72時間後効果なければ、オゼックスに変更(7~14日間) ミノマイシンは原則禁(永久歯に生え変わっていないため、歯牙黄染の可能性あり) ②8歳以上:クラリス48~72時間ご効果なければミノマイシンに変更(7~14日間) ③上記の治療に反応しない場合:プレドニン(副腎皮質ホルモン)1~2日投与(マイコプラズマ肺炎は菌に対するアレルギー反応と考えられている) (8)登園・登校基準:明確な基準はないが、解熱・呼吸症状の軽快・5日間以上の有効抗菌薬の服用を目標に! ①全身状態が改善したら:解熱して、呼吸器症状が軽減したら登園・登校は可能と考えます。 ②マイコプラズマ治療薬を5日以上内服したら感染力はなくなると言われています。クラリス(治療服用期間10日間)、クラリス耐性株であればオゼックス・ミノマイシン(治療服用期間:7~14日間)を5日以上内服すれば登園・登校していいと思います。しかし、治療服用期間はしっかり服用してください。