福岡県小郡市横隈の小児科

お知らせ
お知らせ

子宮頸がんワクチンの積極的接種奨励の再開に際して(講演会のまとめ 5月5日)

☆平成9年~17年生まれの人はキャッチアップ接種が無料でできます。接種対象期間が令和7年3月までと限られています。あと2年ありません。早く接種されることをお勧めします。

☆3月8日国からの報告で4月1日よりHPV9価ワクチン(商品名:シルガード9)の接種が開始されます。     (1)9歳以上~15歳未満は9価ワクチン接種回数は2回になります。(少なくとも5か月{通常6か月}以上の接種間隔を開けての2回接種となります。15歳になる前に1回接種していれば2回目が15歳を超えていても2回接種となります。しかし、12歳以上は定期接種となりますが、9歳から~12歳未満の接種は任意接種となるため自己負担となります。(2)15歳以上は今までどうりの接種間隔で3回接種となります。

子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(以下HPV)の感染で起こる。HPVは200種類以上あり、性行為により感染し、約10年後に子宮頸がんの発生がピークとなる。日本ではHPV16,18の感染が子宮頸がんの原因の84.8%を占め、20歳の90%を占める。9価ワクチンの接種で頸がんの90%以上の予防効果が期待で来るようになります。

日本では2013年定期接種となったが、重篤な副反応の疑いが多数報告され、2か月後には積極的接種奨励が中止され接種率は0.3%となった。先進国で最も低い接種率である。今年の4月積極的接種奨励が再開されたが、世界ではワクチンの有効性が報告される中、日本では頸がんは増加傾向にある。

Ⅰ:日本の子宮頸がんの現状                                            (1)子宮頸がんの発症者は11,000人(2017年)、死亡者は2,800人(2018年)と30~40代で増加傾向にある。その増加は30~34代の発生がピークであり年間1,500人発症し、異形成を加えると30~34歳代で年間6,000人と大変多くの発生を見ている。 

(2)結婚年齢の上昇に伴い出産年齢のピークは32歳であり、子宮頸がんのピークと一致しており、未産婦や子育て中の30歳代に死亡に関与している。Mothre killerと呼ばれている。

Ⅱ:HPVワクチンの有効性の報告                                     (1)2021年イギリスの報告:                                       ①高度異形成に関して:12~13歳でワクチンを接種(97%減少)、14~16歳(62%減少)、16~18歳(39%減少)  

子宮頸がんに関して:12~13歳(87%減少)、14~15歳(62%減少)、16~18歳(34%減少)          ☆12~13歳の女児に接種することにより、25歳までに子宮頸がんとその前がん病変がほぼ根絶することが示された。 

 (2)2020年スウェーデンから:ワクチンを接種した1,672,983人の10~30代女性の報告             ①4価ワクチンを17歳未満で接種すると88%で子宮頸がんが予防できた。17~30歳接種で53%、全体で63%が子宮頸がんを予防できた。 

 (3)2022年日本からの報告:初回接種年齢とHPV16/18感染率、セクシャルデビューの検討             ①初回ワクチンを12~15歳で接種した時のHPV16/18陽性率は0%、16~18歳は13%、19~22歳は35.7%、22歳以上は39.6%、未接種は47%であった。                                       ②セクシャルデビューの中央値は17歳であり、その年齢以降HPV16/18感染率は上昇する。

(4)2022年日本(新潟)からの報告:                                    子宮がん検診を受診した25~26歳女性を対象にした、性的経験、セクシャルデビュー、性的パートナー数を参考に、ワクチン接種者、未接種者間でのHPV感染率を比較した研究。                     ①HPV16/18感染率:ワクチン接種者(感染率0%)、非接種者(感染率5.4%)             ②HPV31/45/52感染率:ワクチン接種者(感染率3.3%)未接種者(感染率10%)HPV16/18ワクチン接種の交差免疫の効果で、16/18以外のハイリスクウイルスの感染率も低値であった。                   ③接種後8.5年経過しており、ワクチンの長期の有効性が示された。

Ⅲ:HPVワクチンの安全性:子宮頸がんワクチンの安全性は確認されており、水痘ワクチンと同等であるとされている。 

(1)HPVワクチンの副反応は「HPVワクチン関連神経免疫異常症候群(HANS)」の学会報告以降、報道され問題     化した。                                               HPVワクチン関連神経免疫異常症候群とは?                                              ①前提条件:HPVワクチンを接種後起こる(ワクチン接種からの期間の限定はない)                                     ②大基準:ⅰ身体の広範な痛み(複合性局所疼痛症候群)ⅱ長期に持続する激しい疲労(慢性疲労症候群)など   ③小基準:自律神経異常、起立障害等(起立性障害の体位性頻脈症候群の症状に一致)、 など              (2)2015年 機能性身体症状(検査で異常を認めない)が10万人に5人と国が報告。                               (3)2017年 HPVワクチン接種後の重篤な副反応疑いが10万人あたり51.1人と国が報告                                (4)これを受けて、全国的な疫学調査(祖父江班)と名古屋にての疫学調査が行われた。                                  調査内容 ①接種後に現れたとされた24の症状を、ワクチン接種者と非接種者で比較した。                            結果 ①驚いたことに、ワクチン接種者と非接種者の間に有意差はなかった。                                 ②むしろ13項目において接種者の方が少なかった。                                 この疫学調査によりHPVワクチンの安全性が示された。  

(5)一般にワクチンの副反応の頻度は10万人あたり1人前後であり、その発現は不活化ワクチンでは0~数日(多く見て2週間)以内、生ワクチンで0~3か月以内であり、HPVワクチンは不活化ワクチンのため、1か月以上経過しての発現は根拠に乏しい。                                                               (6)国の副反応調査会の報告では接種後1か月以内の発症は23例で2か月までの発症が32例であった。                (7)国が定めた因果関係を否定できない例が28例であった。                                     (9)副反応研究者の報告では1か月以内に起こった症例は最大推定でも29例とのことだった。                          以上の数字は10万人あたり1人の頻度であり、他のワクチンと比較しても安全あることが示された。       (10)WHO,欧米ではワクチンとの因果関係を認めておらず、子宮頸がんの撲滅を目指すWHOは科学的根拠の少ない理由で接種を控えている日本を非難している。

Ⅳ:尖圭コンジローマへの効果                                                   4価ワクチンは子宮頸がんを引き起こすHPV16/18と尖圭コンジロームを引き起こすHPV6/11に効果を認める。                                                                 (1)4価ワクチン接種後、尖圭コンジローマは接種後2~3年で著明に減少する。                 (オーストラリアでの報告で21歳未満の感染率:18.6%→1.1%に減少)                                                 (2)尖圭コンジローマに感染中の妊婦が分娩する際に新生児にHPVの経産道感染を起こし、1/145の割合で再発性呼吸器乳頭腫症をおこす。ワクチン接種で減少する。

Ⅴ:キャッチアップ接種について                                      平成9年~17年生まれの女性は定期接種対象外であるが、令和4年4月~7年3月までの3年間、定期接種に準じたキャッチアップ接種を無料でできるようになった。                                 (1)根拠になった報告:性交経験のある16~26歳女性(子宮頸がん検診異常者、尖圭コンジローム感染者、性交パートナー5名以上は除外)に対し、4種類のHPVの感染率と調査した。                       ①4種類すべてに感染(0.1%)、②1~3種類に感染(26.8%)、③4種類に未感染(73.2%)            (2)未感染者でHPVワクチン接種群と未感染者で接種しなかった群で子宮頸がんの発生の調査を行った。        接種者群の子宮頸がん発症は2人/5306人に対し未接種者群は63人/5262人であった。                 性交渉のある16~26歳においてもワクチン接種により96.9%の子宮頸がんの予防効果が見られた。                        ☆以上の報告はあるが、20歳以上になってHPVの感染が成立すると、ワクチンの効果が低下するので18歳までの接種が推奨され、早期の接種が勧められる。

Ⅵ:重篤な副反応への対応                                        HPVワクチン接種の積極的推奨の再開に伴い、以前はなかった専門医療施設が全国に整備されました。筑後地区は久留米大学が指定されています。産婦人科教室が中心となり、副反応を疑われる患者さんが出た場合、電話連絡を入れてもらえれば、なるべく早く、待たせることなく診療してくれるそうです。産婦人科、小児科、整形外科、神経内科、精神科などがチームを作って診療してくれ、現在11の症例に対応しているそうです。

講演をしてくれた久留米大学小児科の津村先生は「12~13,15歳の接種が大切なので、小児科の対応が大切だと思う、対策として2種混合際に女児にHPVのパンフレットを配布したらどうだろう?」と小児科の重要性を話されていました。