福岡県小郡市横隈の小児科

お知らせ
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インフルエンザに関する情報(10月29日)

☆A香港型に注意(大阪公立大 掛屋先生講演より)                                        (1)オーストラリアの今年夏の流行は約8割がA香港型であり、死亡者や入院が増加した。          (2)例年は若年者と高齢者に感染が多かったが、今年のオーストラリアでは若年者が多かった。                          (3)令和3年の採血による検査の結果、全ての年齢でA香港型に対する抗体価は低下していて、最も高い20~24歳でも50%、0~4歳では10%に過ぎない。                                                           (4)A(H3N2)ウイルスはワクチン製造の過程で変異を起こすため、期待されるだけのワクチンの効果が得られない(特に高齢者で低下)。

A:今までのインフルエンザの特徴(国際医療センター 照屋先生の講演より)                              (1)昨年のインド、今年のオーストラリアの状況をみると、インフレンザとコロナウイルスのウイルス干渉はなさそう。                                                              (2)今年のオーストラリアでは例年より2か月早く過去最大のインフルエンザの流行が起こった。例年は若年者と高齢者に多かったが、今年は若年者に多かった。                                             (3)インフルエンザ感染後の防御能はA型(H3N2)で急速に減少する。H1N1(新型インフルエンザ)は50%防御能は2年以上持続するが、H3N2感染後1年以内に消失する。                                         (4)コロナウイルスとインフルエンザウイルスの同時感染は重症化リスクを2.3~4.1倍増加させた。                      (5)家族内にインフルエンザ患者がでると、家族の20%が感染し、年齢は関係ない。                        (6)抗ウイルス薬は合併症や入院率を減少させる。                            (7)77歳以上ではインフルエンザの感染で心筋梗塞の頻度がB型で10倍、A型で約5倍に上昇するそうです。

☆タミフルに関する報告                                           ①タミフルは症状持続時間を25.2時間短縮させる。                                              ②タミフルは下気道感染を44%減少させる。                                                  ③タミフルは入院率を63%減少させる。                                                    ④タミフルはA型には効果的であるが、B型に対する効果は不十分である。  

☆ゾフルーザに関する報告                                                           ①服用翌日、ゾフルーザはタミフルと比べウイルス量を72倍減少させた。                                                ②ゾフルーザはタミフルよりウイルス量を早期に減少させる                                            ③タミフルはB型に対して効果が不十分であるが、ゾフルーザはA型、B型ともに効果的である。                              ④ゾフルーザの1回投与は感染予防効果も認められた投与群1.9%の発症、非投与群13.6%発症)                                           ⑤ゾフルーザは下気道感染症などの合併症を73%減少させた。                                            ⑥ゾフルーザを使用すると耐性株が発生するが、その時には症状は改善している。4~5日目に耐性株が増加し薬の効果は期待できないが、獲得免疫により自然に耐性株は消失する。

B:コロナ・インフルエンザ同時流行の際の注意点(日本感染症学会)                                      (1)冬季はコロナ・インフルエンザや他の呼吸器感染症の流行が見られやすいので、必要な場面でのマスク着用、3密の回避、換気対策を行う。                                                      (2)ワクチン接種のお願い                                                           ①コロナ・インフルエンザの同時流行に対して、両ワクチンの速やかな接種を行う。                                 ②従来ワクチンに比べ2価ワクチン(BA.1対応、BA4.5.対応)の高い有効性が期待できる。                            (3)診療体制の対応                                                         ①原則は対面診療                                                               ②診療ひっ迫の場合:重症化リスクの高い人(高齢者、基礎疾患を有する人、妊婦、小学生以下の小児)を優先                     ③重症化リスクの低い人はコロナ検査キットによる自己検査、自宅療養へ                                  (4)診断検査:コロナ・インフルエンザ同時簡易検査を有効利用する。(コロナ遺伝子検査も準備しておく)

インフルエンザの診断は、コロナ自己検査陰性、地域のインフルエンザ流行状況、インフルエンザ患者との接触歴、急激な発熱、筋肉痛などの臨床症状を参考に診断