1。COVID-19の最新知見と薬物療法(2023/06/26 シオノギWEB講演 聖マリアンナ医大 國島先生) 2。新型コロナ感染症の臨床(2323/8/1 国立東京病院 永井先生) Ⅰ:コロナ感染症とインフルエンザ感染症の比較
インフルエンザ コロナ 症状 発熱、咽頭痛、咳嗽。下痢 発熱、咽頭痛、咳嗽、下痢、味覚臭覚障害 無症状感染 10%:ウイルス量少ない 数%~60%:ウイルス量多く、感染力強い ウイルス排出 5~10日 約9日 感染経路 飛沫感染 飛沫感染、エアロゾル感染 家族内感染 約10% 約40% 重症度 多くは軽症~中等症 多くは軽症~中等症、軽症でも重症化がある 致死率 0.1% 0.1%~3or4% 後遺症 見られない 15~25%:若年・青壮年に多い ワクチン 使用可能だが季節ごとに異なる 可能だがオミクロン株の発症防止効果は低下 薬物治療 ある ある 予防投与 ある ない
日本の現在のコロナ感染率(抗N抗体価の推移) 抗N抗体価陽性率(%) 2022/11月 25.6% 2023/2月 42.3% 2023/5月 42.8% イギリスの抗N抗体価(感染抗体価)は約85%であり、日本の感染者は42.8%と低いため、今後も感染者の増加が予想される。
Ⅱ:ワクチンの有効性 (1)抗体価は4回目接種後約4週間でピークに達し、13週間で4回目接種前のレベルに低下する (2)ワクチン接種による細胞性免疫は変異の有無にかかわらず8か月以上持続し、罹患による細胞性免疫は12か月継続する。 (3)感染既往による再感染予防効果はオミクロン株では45.3%と低かった (4)再感染予防効果は感染既往単独では(25%、12か月)であったが、感染既往+ワクチン接種では(42~47%、6~12ケ月)と高かった(ハイブリッド免疫効果)
Ⅲ:オミクロン株対応2価ワクチンの有効性 (1)2価ワクチンの追加接種により、オミクロン変異株にも中和抗体は上昇する (2)追加接種により、1価より2価ワクチンの方が高い入院・死亡抑制効果が見られた(25.2%VS58.7%) (3)BA4/5後期では、ワクチン未接種者の死亡率は2価ワクチン接種者と比較して、65~79歳で23.7倍、80歳以上で10.3倍であった
ワクチン接種は罹患時のウイルス量を減らし、重症化、後遺症を抑制するとともに、家庭内感染を抑制する(感染時のウイルスの排出期間を短くし、排泄量もすくなくする。)
Ⅳ:後遺症 (1)国立国際医療センターの報告では、コロナ回復患者の1/4以上に、急性期には軽症であった(86.4%)にもかかわらず後遺症がみられた。1年以上持続している症状:記憶障害(11.7%)、集中力低下(11.4%)、嗅覚障害(10.3%)、ブレインフォグ(9.1%)、抑うつ気分(7.5%) (2)大阪大学の報告では、コロナ患者のうち、6か月時点で22.9%に後遺症が見られ、24か月の観察では12.5%が無症状と有症状を繰り返していた。 (3)東京都の調査では感染後2か月以上の後遺症を疑う症状が25.8%にみられ、約半数が疲労感であった。後遺症の方の85%が日常生活への支障が見られ、半数以上が仕事や学業を休んでいた。 (4)米国の報告では14.6%に後遺症がみられ、平均年齢38.8歳で、45.9%がブレインフォグまたは記憶障害が見られた。後遺症のためフルタイムの就業は困難であり、失業する可能性が高かった
(5)治療薬・ワクチンの後遺症に対する効果 ①ワクチン:後遺症としての倦怠感(62%)、頭痛(50%)、筋力低下(62%)を減少させた ②パキロビット:後遺症を26%減少させた ③ラブゲリオ:後遺症を14%減少させた ④ゾコーバ:後遺症を33%減少させた
Ⅴ:薬物治療:抗ウイルス薬はXBB.1.5系統に対して高い増殖抑制効果を示した ①ウイルスの増殖抑制効果を示した ②体内からのイウルスの消失を促進した (1)罹病期間の短縮が期待できる (2)入院患者の死亡率の減少 (3)合併症(後遺症を含む)、入院リスクの減少 (4)家族内での伝播の抑制 抗ウイルス薬投与により、以上の効果が期待される。
(1)パキロビットは65歳以上の入院率を減少させた(ハザード比0.27) (2)ラゲブリオはリスク患者のワクチン接種済におけるコロナ入院・死亡の発生を減少できなかった。(このため、欧米ではラゲブリオは治療の第一選択薬になっていない) (3)ゾコーバは3~4日で感染者のウイルスを陰性化した。後遺症を減少させた
Ⅵ:演者の提言 コロナ感染症は半年~1年のサイクルで流行が起こってくるので、秋にはもう1回ワクチンを接種したほうがいい。今後1年に1回はワクチン接種した方がいい。2価ワクチンを接種していない人は1回は接種した方がいい。
B: 5~11歳のコロナワクチンに関するファイザー社からの報告(効果・副反応) (1)接種回数 2回目 3回目 ① 疼痛 72.2% 73.9% ② 全身倦怠感 46.6% 45.6% ③ 頭痛 34% ④ 発熱 8.8% 6.7% 5~11歳の小児では16~25歳と比較して接種後の全身的副反応の出現頻度は少なかった
C:6か月~4歳のコロナワクチン
(1)接種間隔 1回目接種→(3週間経過)→ 2回目接種 →(8週間経過)→ 3回目接種 (2)副反応 6か月~1歳 1回目 2回目 3回目 ① 不機嫌 51.2% 47.4% 43.6% ② 食欲低下 22.2 22.2 19.9 ③ 眠たくなる 27.0 23.8 19.9 ④ 発熱 7.2 7.4 6.8
2~4歳 1回目 2回目 3回目 ① 疼痛 30.8 31.0 26.7 ② 全身倦怠感 29.7 25.7 24.5 ③ 頭痛 4.5 4.6 4.9 ④ 発熱 5.2 4.9 5.1