福岡県小郡市横隈の小児科

お知らせ
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子宮頸がんワクチンについて(2月9日久留米大学産婦人科牛島教授講演まとめ)

☆子宮頸がんワクチンに関する新しい報告イギリスからありました。

12~13歳で2価HPVワクチン(200種類以上あるHPVウイルスのうち16型、18型の2種類に効果があるワクチン)を接種した女性を25歳の時にがん検診のスクリーニングをしたところ子宮頸がん発生率は87%減少し、CIN3(Grade3異型上皮)の発生率は97%抑制され、子宮頸がんの撲滅に近い状況が確認された。

★日本でのHPVワクチンの接種状況も、産婦人科の先生方や自治体の努力のおかげで一時期0.3%であった接種率が14.4%まで改善してきているそうです。今年の4月からHPVの接種の積極的推奨も再開されるそうですので更なる接種率の向上が期待されます。日本の子宮頸がんが減少するのを期待しています。

☆久留米大学産婦人科牛島教授のHPVワクチンに関する講演がありました。その講演をまとめてみました

(1)子宮頸がんの発症者(2017年11000人)、死亡率(2018年2800人)が最近増加してきており、特に30~40代で増加してきいる。Grade3の異型上皮を加えるとその増加は大変な数になる。30~40代は早期のⅠ期の癌患者が多いが治療法としては手術療法しかなく、子宮摘出術がおこなわれる(手術後妊娠は困難)。上皮内癌は円錐摘出術が行われ子宮は残るが早産率が3倍になる。

(2)結婚年齢の上昇に伴い出産年齢のピークは32歳であり、このピークと頸がんのピークがほぼ一緒の年齢であり、未産婦や小さい子供が多い30歳代女性の死亡が増加していることに関係している。そのため、子宮頸がんはMather killerと呼ばれている。                                     (3)子宮頸がんワクチンを接種していないのは日本だけであり、デンマークの報告では4価ワクチンを17歳未満で接種した場合、88%が子宮頸がんの発症が予防できた。同様の報告がスウェーデンでもあった。         (4)MINT study(日本で行われたアンケートを中心とした疫学研究:2012年4月~2019年12月の調査)      Sexual debut(初性交) 14歳:7.4%  16歳:50%  (2016年では19歳が50%)              であり現行の12~16歳では遅く14歳までにワクチン接種をすませたほうがいい。              (5)予防接種を推奨する方と反対する方の意見に大きな差があり、まだ解決されていない。         (6)接種後の重篤な副反応は、痛み刺激が引き金になった可能性が高く、その症状は慢性疲労症候群、複合性局所疼痛症候群、起立性調節障害の体位性頻脈症候群に相当する。                      (7)接種後の重篤な副反応の頻度は10万人あたり約50人、そのうち90%は回復しているが10万人あたり約5人は症状が持続している。                                          (8)接種していない人でも同様な症状は10万人あたり20.4人に見られており、WHO、欧州、米国、英国においてはワクチン接種との因果関係を認めてはいない。                             (9)積極的接種の勧奨が行われなくなって7~8年たった現在、女子大生の中には子宮頸がんワクチンがあることを知らない人が多い。                                         (10)令和4年4月から12歳~16歳の女性へのHPVワクチンの定期接種として積極的接種勧告が開始され(無料での接種)る。また、積極的接種の推奨が中止されていた平成9年~17年生まれの9学年の女性については令和4年4月~7年3月までの3年間定期接種に準じたキャッチアップ接種が検討されている。20歳以上になるとHPVの持続感染が成立しワクチンの効果が低下するので、18歳までのキャッチアップ接種が望ましい。                    (11)久留米大学では、接種後の副反応とみられる症状出現後は久留米大学産婦人科が窓口となり、大学の他の科(小児科、精神科、整形外科、麻酔科な)と協力し診療に当たっていて現在11例に対処している。ワクチン接種の副反応が疑われた場合、診断した医師が直接大学病院産婦人科に連絡すれば、予約制で診察してくれるそうです。

以上のような内容の講演でした。